インターンシップの成功事例
非常時の賃金の支払企業は,社員が本人も含め,家族等(社員の収入によって生計を維持する者)の出産,疾病,災害,死亡など,非常の場合の費用に充てるために賃金を請求した場合においては,賃金の支払期日前であっても,既往の労働に対する賃金を支払わなければなりません(労基法25条)。
これを賃金の非常時払といいます。
したがって,賞与についても,非常時の請求をした社員に賞与を受領する請求権が発生しており,かつ全額が確定しているときは支払わなければならないことになります。
では,企業としては,非常時払の請求があったときは,何日以内に支払うべきかということが問題になりますが,労働基準法はこの点については特別に規定を設けていません。
非常時払という事の性質からすれば,当然に請求のあったときから遅滞なく支払わなければならないということになるでしょうが,一応の目安ということでは,次で説明する退職時の金品の返還について,労働基準法は7日以内と規定していますので,目安的には7日以内ということになりましょうか。
退職時の金品の返還企業は,社員が退職(解雇も含まれる)または死亡した場合において,社員本人または社員の遺産相続人(一般債権者は含まれません「昭22.9.13発基17号」)から請求があった場合においては,賃金の支払期日前であっても7日以内に賃金を支払い,積立金,保証金,貯蓄金その他名称の如可を問わず,社員の権利に属する金品(金銭およびふとんや衣類等の物品「昭41.2.2基収8818号」)を返還しなければなりません(労基法23条1項)。
したがって,賃金の支払期日が毎月25日であるという企業においては,社員が13日に退職し,その日に賃金の支払い請求をした場合には,たとえ賃金の支払期日が25日であっても20日までに既往の労働に対する賃金はもちろん,労働しない部分の賃金も支払う旨の特約があれば,それも含めたすべての賃金を支払わなければならないということになります。
このことは,就業規則において社員の退職または死亡の場合の賃金の支払期日を特別に設けている場合であっても同じです。
とすると,退職金も労働協約,就業規則などによって支給条件が明確に定められている以上は,労働基準法上の賃金ですので(D公社小倉電話局事件・最高3小判昭43.3.12民集22巻3号562頁,昭22.9.13発基17号),原則的には請求があった場合には,賃金の支払期日前であっても7日以内に支払わなければならないということになります。
しかし,退職金は,労働条件としては賞与などと同じように,労働基準法上は相対的必要記載事項の1つであり,退職金を設けるか否かは,企業の自由裁量の範囲に入るものであって,退職前においては単なる期待権(退職事由のいかんによっては支給されない場合もある「停止条件付債権」)にすぎないことから,労働基準法も24条の「毎月1回以上一定期日払」の原則や「非常時払」の対象除外としているものであって,「退職後の金品の返還」に関する規定の適用についても毎月支払われる通常の賃金と同じように7日以内の対象外とすることは合理的であると思われます。
行政解釈においても,このような趣旨から「退職金は,通常の賃金の場合と異なり,予め就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りる」(昭26.12.27基収5483号,昭63.3.14基発150号・婦発47号)としているところです。
ところで,ここで注意しなければならないのは「7日以内に」という期限は賃金の支払についてのみのことであり,労働基準法は社員の権利に属する金品の返還期限については,特別に規定を設けていません。
しかし,その趣旨からして賃金の支払と同様「7日以内に」という期限が適用されると解されます。
休業手当の支払社員にとって,賃金は生活の糧ですから,企業の「責に帰すべき事由」(条文では「使用者の責に帰すべき事由」となっています)で休業によって,社員が就業できなくなった場合には,その休業期間中(就業規則等により休日と定められている日を除く「昭24.3.31基収4077号」),企業は社員に対し,平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません(労基法26条)。
これを休業手当といいます。
しかし,民法は,企業の「責に帰すべき事由」(条文では「債権者ノ責二帰スヘキ事由」となっています)によって,社員が就業できなくなった場合には,社員は,賃金請求権(民法上は反対給付請求権といいます)を失わないと規定されていますので(536条2項),この民法原則と労働基準法上の休業手当との関係が問題になるところですが,一般に次のように理解されています。
休業手当の規定は民法の規定を排除するものではなく,社員は休業手当を請求できるほか,休業手当の額を超える残りの賃金についても請求することができます。
民法の規定は,企業と社員の合意によって排除することができますが,休業手当は強行規定ですから罰則(労基法120条1号.114条)をもってその支払が強制されます。
休業手当における「企業の都合」,いわゆる「使用者の責に帰すべき事由」は,民法における企業の都合,いわゆる「債権者ノ責二帰スヘキ事由」(故意,過失または信義則上これと同視すべき事由)とは同じでなく,天災事変などの不可抗力以外の一切の経営上の障害も含まれるとされており,最高裁判例は「「使用者の責に帰すべき事由』とは,取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって,民法536条2項の『債権者ノ責二帰スヘキ事由』よりも広く,使用者側に起因する経営,管理上の障害を含むものと解するのが相当である。」(Nw航空事件・最高2小判昭62.7.17民集41巻5号1283頁)と判示しています。
では,どのような場合に企業の都合ということで,休業手当を支払わなければならないかですが,一般的には,親企業の経営難から下請企業が資材,資金の獲得ができず休業した場合,資材,設備などの欠陥に起因して休業した場合などが考えられます(昭23.6.11基収1998号)。
しかし,法令を遵守することによって生ずる休業は,外部の不可避的な事由により生じたものですから,労働安全衛生法66条による健康診断の結果にもとづいて企業がその社員を休業させた場合は,休業手当の支払義務はありません(昭23.10.21基発1529号)。
ところで,平均賃金の100分の60以上の休業手当というのは,その休業が事業の全部であるか一部であるか,また全1日の休業であるか一部の休業であるかを問いません。
このことは,労働日の一部を休業した場合は労働した時間の割合ですでに賃金が支払われていても,企業はその日につき,全体として平均賃金の100分の60までは支払わなければならないということを意味します。ですから,実際に支払われた賃金が平均賃金の100分の60に達しない場合には,企業はその差額を支払わなければなりません。
そうでなければ労働基準法26条違反ということになります(昭27.8.7基収3445号)。
そこで,実務上問題となるのが「平均賃金」という概念です。
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